民法は、結婚していない男女間の子(婚外子、非嫡出子)の遺産相続分を、結婚している夫婦間の子(婚内子、嫡出子)の半分と定めています。

これに対しては、以前から、この民法の定めは婚外子(非嫡出子)を差別するものであり、憲法に定める法の下の平等に反して違憲である、との主張が強くなされてきました。
つまり、法律上の夫婦を保護しようとすることは良いにしても、両親が結婚している夫婦ではないことについては、子には何らの責任もない、つまり、子は、両親が結婚している夫婦かどうかを選ぶことはできないということから、婚外子に課せられる不利益は不合理なものという立場でした。

この問題については、最高裁判所は、これまでは、この相続分の格差は、法律上の夫婦を保護しようというものであり、著しく不合理なものとはいえない、従って、憲法には違反しない、との立場をとっていました。

しかし、今回、最高裁判所は、憲法違反であるとの立場をとりました。つまり、考え方を変えたわけです。但し、かといって法律婚を軽視することになったものではありません。

今回の判断によって、婚外子の利益が守られたことになりますが、他方で、婚内子は従前と比較した場合、不利益を被ることになります。
また、婚内子の中には、親が不倫をし、不倫相手との間に子ができた、ということで、つらい思いをされてきた方もおられ、婚外子と婚内子に格差をもうけるのは当然だと考えておられる方もおられます。なお、婚外子は、不倫関係の男女間の子に限るものではありません。法律上の結婚をしていない(入籍していない)男女間の子のことです。

このように法律問題は、色々な立場の方の利益がぶつかり合うものであり、そう簡単には解決できないものであることがよくわかると思います。

藤本法律事務所