離婚問題の概要

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離婚問題の特徴

離婚問題の特徴

離婚問題に直面してしまうことは、誰でもありうることで、決して特別なことではありません。ただし、離婚は、結婚の何倍ものエネルギーが必要といわれるくらい、様々な負担を余儀なくされます。
そもそも、離婚するかどうかだけではなく、同時に、財産や子供のことなど、様々な問題を同時に解決する必要があります。また、それぞれの問題が関連し、絡み合って、容易には結論を出せない場合もあります。
また、離婚によって、生活が大きく変化することにもなります。
女性にとっての離婚は、多くの場合、離婚後の生活に対して経済的な面で不安を抱かれる場合が多いと思います。
男性にとっては、離婚によって子供と一緒に生活できなくなる方も多く、また、離婚時に財産を失うことが多いのが現実です。
従って、離婚による生活などの変化は、避けることができないものですが、できる限り小さな変化に留めたいもので、慎重に対応する必要があります。
さらに、感情や気持ちの占める割合が大きくなり、精神的負担・ストレスも大きくなりがちです。
他方で、早期の解決のためには、どこかで折り合いを付ける必要も出てきます。
離婚問題は、様々なことを考えなければならないことから、1人で問題を解決することは容易ではありません。ご本人が、直接、配偶者と離婚の協議・交渉を行うことは、精神的に困難あるいは不可能な場合もあるでしょう。
また、解決には法律などの専門的知識も必要です。法律で定める離婚原因のこと、また、慰謝料や財産分与、親権、養育費、面会交流など、誤って理解されているケースも目にします。
人生の大きな節目である離婚に際しては、問題の適切な解決のために、より良い解決のために、弁護士によるサポートを是非ご利用ください。 お客様の人生の再スタートのために、弁護士が力を尽くします。

離婚問題の出発点

離婚するかどうか

離婚を考えても、相手(配偶者)がこれを拒否することもあるでしょう。
逆に、離婚を望まないのに相手から離婚を求められることもあるでしょう。
まず、離婚したほうが良いのか、やり直した方が良いのか、あるいは、やり直すことはできるのか、さらに、離婚できるのかどうか、離婚を拒むことができるのかどうか、という点が問題の出発点になります。
離婚するかどうかは、子供のこと、慰謝料や財産のことなど条件次第というお考えもあると思います。
しかし、そもそも、できれば離婚せずに、夫婦関係が修復できれば最善の結果といえます。

そこで、まずは、修復できないか、やり直すことができないかを考えてみることも有益です。ただ、単に、修復したい、というだけでは意味はなく、夫婦の具体的な状況や問題点を把握し、修復のためには何ができるのか、を十分に考える必要はあります。とはいうものの、一旦失った愛情・信頼を取り戻すことは、非常に困難なことでもあり、修復にこだわり過ぎると、かえってお互いに不幸な状態が続いてしまうということもあるでしょう。今後の人生をより良くするには、離婚したくない場合でも、割り切った対応が必要な場合もありえます。
裁判所も、昔は、できる限り離婚しないほうが良い、というスタンスであったように思いますが、最近では、愛情や信頼関係を失ってしまった場合は、財産や生活などの手当てをきちんとした上での離婚はやむを得ない、というスタンスをとる傾向が強くなったように思います。

財産の受け渡し・慰謝料

離婚をするとしても、以下のような離婚時の財産の受け渡しの問題があります。

慰謝料の支払い

夫婦関係を破綻させた原因が、夫婦のどちらか一方にある場合には、慰謝料の問題が生じます。慰謝料が請求できるのか、支払わなければならないのか、妥当な金額はいくらかが問題となります。
浮気・不倫・不貞がある場合の、その相手方に対しての慰謝料請求の問題も生じます。

財産分与(夫婦が実質的に共有している財産の清算)

婚姻中に得た財産は、夫婦で協力して形成した共有財産と考え、離婚時にはこれを清算します(財産分与)。しかし、難しい問題もあります。

・借金の返済はどうするのか?
・住宅ローンの支払いは?
・その住宅はどうする?
・将来の退職金は?

生活費の問題

このほかにも離婚までの生活費(婚姻費用)、離婚後の子供の生活費(養育費)の問題もあります。

子供の問題

離婚をするとしても、以下のような離婚時の財産の受け渡しの問題があります。

●未成年の子の親権(場合によっては監護権も)を、夫婦(父母)のどちらかに決める必要があります。
●このほか、離婚後の子の生活費はどちらがどれだけ負担するのか(養育費)を定める必要があります。
●子供との面会交流をどのように行うのかも定める必要があります。
●そもそも、子供には離婚の責任は全くありません。離婚が子供に与える影響を最小限に留める必要があります。
●夫婦のいずれかが、子供を連れて別居してしまった場合、子供の状況によっては、子供のために、子供の引渡し請求をする必要がある場合もあります。

その他の問題

離婚までの別居中の生活費(「婚姻費用」と言います)はどのように負担するのか。また、年金分割の問題も気になるところです。
さらに、子供の氏(姓、戸籍)の変更の手続も必要となる場合があります。相手(配偶者)が不倫をしていた場合、不倫の相手方に対しても慰謝料請求を行いたいとお考えになる場合もあるでしょう。
このように離婚の際には、解決しなければならない問題がたくさんあります。そこで、できる限り早い段階から弁護士に相談され、専門的なアドバイスを受けられることをお勧めします。

離婚原因(離婚できる場合)

協議離婚の場合は、離婚の理由は問われません。夫婦の双方が離婚に合意すれば離婚することができます。もちろん、夫婦双方が離婚そのものには合意していも、他の条件で折り合いがつかず、離婚できないことは多々あります。

離婚調停の場合も、協議離婚と同じです。夫婦双方の意思が合致すれば、離婚の理由がどのようなものかには関係なく、離婚することができます。

これに対して、夫婦の一方が離婚を拒否している場合、家庭裁判所の調停委員は、法律で定められた離婚原因がある場合には、離婚する方向で話合いをまとめようとする傾向にあります。

裁判離婚(離婚訴訟)の場合は、法律で定められた離婚原因が、1つ以上なければ、離婚することはできません。

1. 配偶者に不貞行為があったとき

セックスを伴う浮気や不倫の場合です。それが一時的なものであっても不貞行為にあたります。
売買春の場合は、これにはあたらないと思っている方もおられますが、これも不貞行為にあたります。
セックスを伴わない浮気・不倫は、不貞行為にはあたらないとされていますが、行為の内容によっては、5の婚姻を継続し難い重大な事由があるとされる場合はあります。

2. 悪意で遺棄されたとき

夫婦間に、お互いに同居・協力・扶助義務があります。これに反して、夫婦の一方が生活費を渡さない、夫が勝手に家を出て行って生活費を家に入れない、相手を家から追い出した、などの場合で、特にその程度がひどい場合です。
夫婦仲が悪くなり、夫婦の一方が家を出て別居した、という程度では、悪意の遺棄にはあたりません。
また、実際には、「悪意の遺棄」にあたり、これが離婚原因であるとされるケースを目にすることは、ほとんどありません。

3. 生死が3年以上も不明の場合

3年以上にわたって、配偶者からの連絡が全く途絶えて、生死さえも不明となっている場合です。
配偶者がどこにいるのかもわからない状態ですので、離婚裁判には、配偶者が出席しないままで進められます。

4. 強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき

それまでにどのような介護・看護をしてきたのか、離婚した場合に、配偶者の生活や治療にどのような影響を与えるのか、など、様々な事情を裁判官が考慮して離婚を認めるかどうかを決めることになります。

5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由のあるとき

夫婦の様々な事情を考慮して、これ以上夫婦としておいても意味がない、夫婦としてやり直すことはできない、と裁判官が判断する場合です。婚姻関係が破綻して、回復の見込みがない場合といえます。
例えば、

●価値観の違い、性格の不一致などにより、夫婦が対立してしまい、もはや修復できない場合・ 多額の借金、はなはだしい浪費癖(ギャンブルにのめり込むなど)がある場合
●宗教活動にのめり込みすぎて、家族を全くかえりみない場合
●勤労意欲が欠如している
●性交渉の拒否、性的不能
●犯罪によって重い刑を受けた場合
●暴力、DVなど
●長期間の別居

こういった事情が原因となり、もはや夫婦としてやり直すことができないと裁判官が判断した場合が、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合です。
なお、夫婦が破綻したといえるためには、どの程度の期間の別居が必要なのか、ということを、しばしば尋ねられます。5年の別居が必要という意見もありますが、単に、別居期間だけではなく、別居に至った原因や別居の実態、子供の年齢や生活状況など、様々な事情を考慮し判断することになりますので、一概には言えません。