弁護士コラム

渉外離婚

2013.02.02

離婚についての法制度を説明するとき、通常は、日本人(日本国籍を有する者)同士の夫婦が、日本に住んでおり、日本で離婚をする場合を想定しています。

しかし、日本で生活している外国人同士の夫婦の離婚、日本で生活している日本人と外国人の夫婦の離婚、外国で生活している日本人同士の夫婦の離婚、日本人と外国人の夫婦で一方のみが日本で生活している夫婦の離婚、二重国籍の場合等々は、通常とは別の検討・確認をする必要があります。

つまり、これらの場合、どの国の法律を適用するのか、検討・確認する必要があります。

また、机上の空論かもしれませんが、日本で生活している日本人同士の夫婦の離婚が、外国でどのように扱われるか、という問題もありえます。考え出すとキリがありません。

法律は、国によって異なります。離婚に関して言えば、そもそも離婚を認めない国、離婚を認めても裁判所の関与が必要な国など、様々です。日本は、協議離婚を認めていますので、離婚に対する自由度が高いといえます。

また、日本の法律では、離婚時には、未成年の子の親権者を、夫婦おいずれかに指定する必要があります。
しかし、離婚しても夫婦が共同して親権を行使する国もあります。そもそも「親権」の意味が、国によって異なります。

このほか、財産分与、慰謝料、養育費その他の制度も国によって異なります。

そこで、どこの国の法律に従うのか、重要な問題となるわけです。

なお、日本の制度(法律)では、離婚については、原則として、夫婦の共通本国法、つまり夫婦の国籍が同じ場合は、その国籍のある国の法律に従う、とされております。しかし、国籍が共通でない場合は・・・・等々、様々な場面がおこりえます。

また、離婚自体の問題以外、つまり親権者の指定や財産分与等々については、離婚と同じように考えて良いのか、という問題もあります。

機会があれば後日に詳しく整理したいと思います。

このほかに、そもそも日本の裁判所で、こういった離婚の紛争を扱えるのか、という問題もあります(国際裁判管轄)。

「日本人同士の夫婦が、日本に住んでおり、日本で離婚をする」以外の場合は、通常の離婚の説明が当てはまるとは限りませんので、注意する必要があります。