弁護士コラム

婚姻費用の分担

2013.03.13

婚姻費用という用語があります。
一見すると、結婚するための費用、結婚式の費用のようですが、そうではなく、夫婦の生活費、という意味です。

ただ、円満な夫婦では、その生活費に「婚姻費用」という言葉を使うことは、まず、ありません(使っても問題はありませんが、、)。

しかし、夫婦が破綻し、あるいは円満ではなくなり、別居に至った場合、夫婦の生活費を、夫婦がどのように負担するのか、という問題が生じます。また、別居していなくても、いわゆる家庭内別居の状態でも、生活費の分担の問題はありえます。例えば、夫が家庭にお金を全く入れない、あるいは少ししか入れない、という場合です。
これが婚姻費用の分担の問題です。略して、婚費(コンピ)分担という場合もあります。

さて、離婚問題の相談や依頼を受けた場合、経験上、婚姻費用の問題・紛争も現実化していることが多いといえます。

そこで、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる場合は、多くの場合、これと一緒に婚姻費用分担の調停も申し立てます。家庭裁判所の手続では、離婚と婚姻費用分担は別手続となっているからです。
しかし、紛争の実態は共通ですので、2つの手続を同時に、一緒に進めていくこととなります。

婚姻費用分担の調停では、夫婦のどちらが、夫婦の生活費(子供の生活費を含む)をどのように負担し合うのか、ということを話し合います。
基本的には、夫婦の収入のうち、夫の生活費とすべき割合はいくらか、妻の生活費とすべき割合はいくらか、子供の生活費とすべき割合はいくらか、といった観点から決めていくことになっております。

そして、裁判所では、この判断を容易にするために、子供の人数や年齢に応じて、算定表を作成しており、これに夫婦双方の収入を当てはめて、夫婦の一方が他方に渡すべき金額を具体的に決めていく、という手法をとっております。