例えば、離婚して、子供の親権を母親とするなど、子供が母親側に引き取られた場合であっても、父と子の親子関係がなくなるわけではありません。
そこで父親に、子と面会、交流する権利は原則として認められます。
これを母親の立場から見ると、父と子の面会交流を拒否したり、妨害したりしてはいけない、協力しなければならない、ということになります。
母親が面会交流に協力しない場合、拒否する場合などは、家庭裁判所に調停を申立て、面会交流を母親に求めることが出来ます。
また、離婚時に、離婚調停や離婚裁判等で、面会交流の定めがなされることもあります。
もちろん、例外的に、面会交流が子の利益にならない、と判断されれば、認められないこともあります。
ところで、裁判所で面会交流の実施が定められた場合(調停、審判、裁判等による)、それにもかわららず、面会交流を拒否する場合、どうすればよいのでしょうか。
まずは、家庭裁判に申し立てて、履行勧告を出してもらいます。
要するに、家庭裁判所から、面会交流を実施するよう、協力するように、相手に勧告してもらう、というものです。しかし、相手がこの勧告に従わなければ、やはり面会交流は実現しません。
では、強制執行はどうなのでしょうか。せっかく裁判所での取り決めがあるので、強制力がないものか、と考えて当然です。
仮に、お金を返して欲しいという裁判をして、お金を返せという判決が確定したにもかわらず、お金を返さない場合、強制執行をすることが可能です。強制執行は、裁判所に申立をして、相手の財産を差し押さえてお金に換え、ここから返済を受ける、というものです。
では、面会交流を実施するために、強制執行の手続を裁判所に申し立てることはできるのでしょうか。
面会交流の強制執行といっても、子供を強制的に連れてきて、面会交流を実現させる、ということは、出来ません。
この場合は、間接強制といって、面会交流を拒否したら、一定の金額のお金を支払わなければならない、という決定をしてもらうことが考えられます。相手方としては、面会交流を拒否すれば、お金を支払わなければならなくなるので、それでは困るということで、不本意かもしれませんが、面会交流に協力する、という可能性が出てきます。
間接的ではありますが、ある程度、強制的に、面秋交流を実施する、ということになるのです。
では、どういう場合に、間接強制が認められるのでしょうか。
ただ、面会交流の取り決めが裁判所でなされていれば、どんな場合でも、間接強制が認められる、というものではありません。
この点については、最近、最高裁判所が判断をしています。最高裁判所の考えを、またの機会に紹介したいと思います。