離婚時に、お子さんの親権の帰属をめぐって、夫婦で争いになり、解決できないことは、良くあることです。
そういう場合、時々、親権者と監護権者を分ければ良いのでは、と相談される場合もあります。
確かに、そういったケースを耳にしたことがあります。
しかし、親権者と監護権者を分ける場合は、親権のない監護権者は、普段は子を養育しているにもかかわらず、例えば自治体からの各種手当ての受給の際には、親権者の協力を求める必要が生じたり、非常に不便です。
父母の間に信頼関係があれば、そういった場合でも円滑に進みますが、もともと、夫婦関係が悪化し、さらに、親権をめぐって争ったわけですから、なかなか父母間に信頼関係があるケースはないと思います。
もともと子の親権者の指定は、子の福祉、子の利益にかなうものでなければなりませんので、父母間の争いの妥協として親権と監護権を分けることは適切ではありません。
親権と監護権を分ける場合は、通常の親権者どおりの親権者の指定をするよりも、より子どもの利益になるような場合でなければならないといえます。