Aさん夫婦とBさん夫婦がいたとします。
A夫とB妻が、不倫の交際をしていましたが、それぞれの配偶者にバレてしまい、交際は終止符を打ちました。
双方夫婦とも、不倫を許し、仲直りをして、離婚はせず、やり直すことにしました。
しかし、配偶者の不倫相手は許せない、慰謝料請求をしたい、というケースもしばしばある話です。
つまり、A妻が、B妻に対して慰謝料請求をしたいという場合です。
再び関係が復活しないように、あるいは、夫婦はやり直すけれど、けじめをつけておきたい、等々が理由です。
このとき、本当に慰謝料請求をすれば、逆に、B夫もA夫に対して慰謝料請求がなされることが考えられます。
お金の話だけをすれば、双方とも慰謝料請求をせずに、4人が揃って話し合いをして、謝罪をして解決するのがよいでしょう。
しかし、お金を支払ってもらうことよりも、慰謝料請求をすることに意味があるとお考えの場合は、訴訟提起をしてでも慰謝料請求をする場合があります。もちろん、自分の配偶者が先方から慰謝料請求を受けることも覚悟の上です。
では、A妻も、B夫も訴訟提起した場合、どうなるのでしょうか。
両方の事件が、同じ裁判官の担当になれば、あるいはそうでなくても、他方の事件が訴訟になっていることを裁判官が知れば、両事件とも、何とかお互いに、少なくとも実質的には慰謝料の支払いをしない方向で、和解させたいと考えると思います。
しかし、両事件とも、和解ができない場合には、両事件とも判決ということになりますが、その場合、両事件で慰謝料額が異なるという事態も生じる可能性はあります。2つの事件では、原告の精神的損害は必ずしも同じとはいえないからです。
夫婦が離婚をする場合は、慰謝料請求の際に、もう一方の事件のことは考えずに訴え提起をしますが、離婚をしない場合は、悩むところといえます。