同じ事件で、何度も裁判をすることはできません。
しかし、離婚訴訟は、離婚を実現出来るまで何度も裁判を行う、ということがあります。
例えば、お金を貸した人に対して返済を求めて訴訟を起こしたとします(貸金返還請求訴訟)。
貸した相手は、既に返済したと反論した場合、訴訟では、返済したかどうかが争いとなります。
そして、相手の主張(返済したという主張)が裁判で認められた場合、貸した人(訴訟を起こした人)は、裁判で負けることになります。
そして、二度と、同じ裁判は起こせなくなります。
しかし、離婚訴訟の場合、裁判で離婚が認められなかったとしても、その後、再度、離婚の裁判を起こすことは可能です。
それは、裁判が終わった後も、夫婦であることが続きますので、その間に別の事情が追加されていくためです。
以前の裁判では、まだ、夫婦関係は破綻していない、と裁判所が認定しても、裁判の後に、時間が経過すれば、その間の事情が追加され、今度は、夫婦関係は破綻している、と認められることもあり得るからです。
これに対して、上に述べた貸金返還請求訴訟では、お金を貸したことも、返済があったことも、最初の裁判よりも過去の話であり、最初の裁判で確定してしまっています。だから、二度と裁判はできなくなります。
結局のところ、同じ事件で再度の裁判ができないことは、離婚訴訟でも同じです。
しかし、実際には、離婚訴訟の場合は、前の裁判とは別の、新しい事件で裁判を起こしていることになります。だから再度の裁判も認められる、ということになります。