弁護士コラム

子どもの引き渡しの強制執行

2013.05.14

夫婦の離婚の際、例えば、子の親権者・監護者を父親と定めたにもかかわらず、母親が子供を父親に引き渡さない場合、父親は、子の引渡請求の調停・審判を申し立てることがあります。

子を父親に引き渡せ、との内容の調停や審判に至った場合、それでも母親が従わない場合、子の引き渡しの強制執行を行うことになります。

強制執行の方法としては、間接強制による方法もあります。これは、子の引き渡しをしなかったら、一定の金銭の支払いを命じる、というものです。金銭の支払いを避けたいと思えば、子を引き渡さざるをえないことになる、ということを狙ったものです。つまり、子の引き渡しをさせるように、心理的にプレッシャーをかける、というものです。引き渡しの対象が人間(子ども)ですので、穏当な方法だといえます。

しかし、意外に思われるかも知れませんが、子の引き渡しについては、直接強制が認められる場合があります。

これは、裁判所の執行官が、子どもの元に赴き、監護している者(先の例ですと母親)から子どもを強制的にに引き離して、子どもを父親のもとに引き渡すというものです。もちろん、強制的に引き離すといっても限度はあります。

こういう場合、よく、子どもの通学途中や、学校、保育園等に執行官が赴いて実施していましたが、今回、原則として自宅で行う、ということになったとの報道がありました。子どものことを考えると、穏当だと思います。