弁護士コラム

離婚と慰謝料、解決金

2013.10.07

離婚というと、慰謝料はどうなったのか、いくらだったのか、という話題が出がちです。
しかも、慰謝料は、夫側から妻側に支払われるもの、との発想で話されがちです。

しかし、慰謝料を支払わなければならない場合、浮気・不貞行為をした場合、夫婦間で暴力を振るったり暴言が甚だしい場合、家庭や夫婦のことを考えずに(特に生活費・金銭面に関してですが、必ずしもこれに限りません)自分勝手な生活を送っている場合、セックスレスの場合などの場合に限られてきます。

このような場合を考えると、妻が夫に慰謝料を支払う場合もあることはわかると思います。

また、世間では「慰謝料を支払った」と言っていても、実は、純粋には「慰謝料」とは言えないケースも多々あります。
例えば、財産分与(夫婦間の実質的共有財産を離婚時に清算するもの)であったり、離婚後の生活費を援助する趣旨であったり、あるいは離婚を実現させるための解決金であったりと、趣旨は様々です。

このうち、「解決金」は、少しわかりにくいかも知れません。
例えば、離婚するかどうか、あるいは離婚するとしても条件はどうするか、ということで夫婦が対立している場合、協議を重ねても、家庭裁判所で調停をしても、また、離婚訴訟をしても、簡単には解決できず、時間がかかりすぎる場合もよくあることです。

そこで、これを避けるために、双方が妥協し、一方が金を支払って紛争を終わらせる(つまり離婚する)、というときに、その支払うお金を表現するために使われるのが「解決金」です。
お金の意味合いを明確にすることを避けるという意味もあります。

「解決金」の実質的な趣旨については、夫婦双方がそれぞれ、心の中で自分なりに理解をすればよいものです。
そして、その解決金に対する理解を、第三者に公言することは慎むべきと思います。なぜなら、夫婦双方が合意に達して「解決」したのですから。