家庭裁判所での離婚調停は、中立の調停委員が、話し合いの中に入ってくれる、という制度です。
では、調停の際には、弁護士を依頼したほうがよいのでしょうか。それとも弁護士は必要ないのでしょうか。
しかし、それはケースバイケースとした言えません。
調停の手続自体は、難しいものではなく、法律の知識がなくても全く問題ありません。
内容も、双方が希望を出し合い、これを調停委員が調整して話し合いをまとめようと、努力してくれます。
この点を考えると、弁護士を依頼する必要はないといえます。
ただ、調停委員は話し合いを取り持ってくれますが、あなたの味方ではありません。
あくまで中立の第三者で、話合いをまとめるのが仕事です。
いずれか一方に多少の不利益があっても、双方がそれに納得していれば、話し合いがまとまり調停成立となります。
そこで、調停委員は、話合いをまとめるために、相手を強く説得してくれることもあれば、逆に、強く説得を受けることもあります。
離婚の条件では、多少あなたに不利益でも、話し合いが頓挫して解決に至らなかったり、その先の訴訟の手間や費用の負担、訴訟の結論は予測できないこと考えると、説得を受け入れて、ここで解決しておいたほうが良いのでは、という趣旨で、説得されるのです。
こういった調停委員の立場に対して、貴方1人で調停委員に対応できるのか、それとも援助する専門家(弁護士)が居た方が良いのか、を考えることになります。
この点は、調停の中でどのような点が争われているのかにもよると思います。もし、離婚するかどうかという、純粋に気持ちの問題のみが対立している場合であれば、弁護士は不要といえます。
しかし、調停委員の説得を受け入れるかどうかを考える際に、法律の知識が必要となる場合には、弁護士を依頼したほうがよいことはもちろんです。
中には、弁護士には依頼しないけれども、継続して相談をしながら調停を進めるという方もおられます。この場合、弁護士が調停の推移や調停委員の述べたことを、全面的に把握することができませんので、どうしてもアドバイスは断片的で中途半端になりがちです。従って、当初から弁護士を依頼したほうがよいと思います。
調停が不成立となった場合に、訴訟を考えておられる方は、最初から弁護士を依頼しておいたほうがよいと思います。そうでないと、弁護士も、なかなか事情を把握しにくくなるからです。
この点、調停から訴訟まで弁護士を依頼したら、弁護士費用の負担が大きくなるのでは、とご心配の方もおられると思います。
しかし、実は、調停と訴訟とを同じ弁護士に継続して依頼する場合は、よほど調停に手間と時間がかかったような場合以外は、調停から依頼した場合と、訴訟になって初めて依頼した場合では、弁護士費用はそれほど違わないことも多いと思います(但し、事務所によります。)。