弁護士コラム

長期間の別居と離婚

2013.02.06

夫婦の別居が長い場合、離婚が認められる場合がある、という話があります。

そもそも、離婚は、夫婦の話し合いがまとまれば、理由は問わないことになります(協議離婚、調停離婚)。
協議をしても調停を行っても離婚についての話し合いがまとまらなければ、離婚するには訴訟を行うほかありません。そして、訴訟を提起して、裁判所が離婚を認めてくれるには、民法で定められた離婚原因がなければなりません。

ところで、民法で定められた離婚原因に、「長期間の別居」あるいは「別居」という記載はありません。しかし、民法は、具体的に規定された離婚原因のほかに、「婚姻を継続しがたい重大な事由」がある場合には、離婚を認めています。長期間にわたり別居が継続している状態は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして、裁判所も離婚を認めるのです。

では、どの程度の期間別居すれば、裁判所も離婚を認めてくれるのでしょうか。
この点、短期間であれば、まだまだ夫婦として修復する可能性が十分にあることから、裁判所は離婚を認めません。

ちなみに、短期間の別居であっても、夫婦双方について離婚の意思が固く、ただ他の条件で合意に至らないことから訴訟を行っているだけ、という場合であれば、裁判所も離婚を認めることになります。

逆に、そもそも別居しているように見えても、実は、離婚原因にまでなる可能性のある「別居」とはいえないケースもあります。例えば、夫が家を出て行ったものの、時々、洗濯物を以て帰って妻に洗濯してもらっているといった場合であれば、まだ夫婦の共同生活がありますので、「別居」にはあたらないと言えると思います。

さて、話を戻します。離婚が認められるには、どれくらいの期間の別居必要でしょうか。
これは、感覚でしか言いようがありませんし、別居以外の事情にもよりますが、別居2年では、裁判所は離婚を認めるまでにはいかないと思います。
しかし、3年を超える別居であれば、離婚が認められる場合も、ぼつぼつ出てくるように思います。

但し、別居以外の事情も考慮されますので、一律に何年で離婚可能、ということはできません。

また、いわゆる有責配偶者からの離婚請求(例えば、夫が他の女性と長年一緒に暮らしているために、夫婦が長期間別居となっている場合で、夫側から離婚を請求する場合)は、また、別の考慮が働きます。3年別居したから認められる、ということにはなりません。