今年の4月1日に、日本においてもハーグ条約が発効しましたが、このたび、日本人にはじめてハーグ条約が適用されたという報道が、各マスコミにおいてなされています。
今回は、日本人夫婦のケースですが、日本において別居中であった夫婦の妻が、子を連れてイギリスに渡って、日本に戻らなくなったというケースです。
イギリスもハーグ条約の加盟国ですので、夫が、イギリスの裁判所にハーグ条約に基づき、子の日本への連れ戻しを申立て、それが認められたというものです。
ここで、注意しなければならないのは、夫側が子を育てる、ということが認められたわけではないという点です。
つまり、子を妻から夫に引き渡すというものではなく、子をイギリスから日本に戻す、という決定です。
そして、今後、子を育てるのは夫か妻のどちらなのか、という点は、子を日本に戻した上で、日本の裁判所において決める、というものです。
ハーグ条約が問題となる例としては、国際結婚が破綻して、例えば妻が子を連れて母国に戻った場合が挙げあられますが、今回のケースもハーグ条約の対象となるものです。要するに、ハーグ条約は、子の利益のために、子の今後の養育については、子が生活していた国において決めていこうという取り決めなのです。